DVDの耐久性その4
書類・図面などを大変な費用をかけてスキャンしたものが何らかの理由によって見られなくなってしまうという事態が発生しております。書類・図面を電子化した後の保存期間の信憑性をDVDを通して考察します。(日経パソコンより)
その3の続き
理想のDVDメディアを目指している理学博士の森氏は「ポリカが空気中の水分を吸収・排出する過程で分子の結合が切れて白濁する」と指摘。湿度を固定した測定ではこの影響が反映されないという。この影響を考慮するとDVDメディアの寿命は30~50年と森氏は予測する。
その一方で、ポリカ原料を製造する帝人化成の見解は少し異なる。「ポリカは水だけでは分解せず、水とアルカリ性物質が混じって加水分解反応が起きる。メディアの製造過程でコンクリート粉末などのアルカリ性物質が混じった場合に、加水分解による欠陥が発生する可能性がる」(技術開発営業担当の清水部長)。つまり、製造工程でミスがなければポリカはほとんど劣化しないという指摘だ。
1982年の登場から24年経過した音楽CDにもポリカが使われている。その実績と加速劣化試験の結果から、ポカリの寿命は少なくても40年、長ければ200年と推定できる。
いずれにせよ、寿命推定はアレニウス法に頼らざるを得ない。一番重要なのはやはり加速劣化試験の精度だ。
精度を上げるには、測定温度をもっと増やせばいい。65℃よりも常温に近い温度で測定できれば、より正確な寿命推定ができるだろう。だが、こりには大きな困難が伴う。現状の65℃のテストでも、製品によっては1万時間(約417日)が経過しても寿命に達しない。実際このために、一部のDVDーRでは計測不能だった。
逆に、85℃よりも高い温度で測定するとメディアが物理的に変形するなどの現象が起きるため、経年劣化の影響がわかりづらい。
現実に書類や図面をスキャン(電子化)した後に、CD-Rが劣化して、書類や図面などが読み込みできない状態が発生している。全てが劣化したわけではなく、一部であっても、重大なことである。書類や図面のスキャン(電子化)を始めるときには相当慎重であらねばならないだろう。一部の業者はメディアの選定に関心がなく、安いものなら何でもいいといっている業者もいる。
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