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ドキュメントイメージスキャナQ&A 第11回

月刊 IM(Journal of Image& Information Management) 2002年11月号( 第41巻 第11号)26頁に掲載されたものを許可を得て転載したものです。
http://www.jiima.or.jp

ドキュメントイメージスキャナQ&A
町田政彦 キヤノン電子(株)

<第11回>
Qドキュメントスキャは非常に高速にスキャニングを行いますが、どのような機構で重送のない紙送りを実現しているのでしょうか。

Aスキャナの中には、様々なローラーが配置されています。

多くの場合まず紙をピックアップするピックアップローラーがあり、その後に以下説明する搬送ローラー、分離ローラーが配置されています。
(図1)この搬送、分離ローラーによって、1枚ずつ紙をスキャナ内部に送り込んでいきます。その方式にはいくつかありますが、ここでは代表的なものについて説明します。

リタード方式 積載されているドキュメントを上面から給紙する場合、上部に搬送ローラーが、下部に分離ローラーが配置されています。搬送ローラー、分離ローラー両方とも時計方向に回転しようとするのですが、紙が搬送されていない状態では、両ローラーは密着しており、また、搬送ローラーの方の力が強いため、分離ローラーは逆時計方向に回転します。(図2)

紙とローラーとの間には「ローラーと紙の摩擦力>紙と紙の摩擦力」が成り立つため、2枚の紙が送られると、搬送ローラーは上の紙=1枚目を搬送します。一方、分離ローラーは本来の回転方向である時計方向に回転を始め、1枚目のドキュメントにつられて送られてきた2枚目の紙を押し戻します。(図3)紙が1枚送られる時は、図2と同様、分離ローラーは搬送ローラーにつられて逆時計方向に回転します。

櫛歯方式
常に搬送ローラー、分離ローラー共に、上記方式の図3のように時計方向に回転しています。この方式の場合、横から見たときに両ローラー間にはすきまがないのですが、櫛歯方式と呼ぶように両ローラーは互い違いになっており直接接触しません。図4は、全面から見たところです。ドキュメントを搬送する場合1枚ずつ搬送できるように両ローラーの間隔を調整します。搬送ローラーの摩擦係数が分離ローラーの摩擦係数よりもよりも大きいため、紙が1枚送られると、分離ローラーは紙を押し戻そうとするものの、搬送方向に紙が送られるわけです。2枚の紙が送られてきた場合は、両紙間の摩擦係数が、分離ローラーと紙との間の摩擦係数よりも小さいため、2枚目の紙は分離ローラーによって押し戻されます。製品によっては、ローラーの間隔調整が自動化されているものもあります。

パッド分離方式
分離パッドにより、2枚目の紙を押さえて重送を防ぎます。(図5)一般的には、上記2方式より分離性能は劣るといわれることもありますが、機械の小型化等に役立ちます。
ドキュメントスキャナを使用する業務において、重送は紙詰まりと同様にその生産性を著しく低下させることになります。そこで、ドキュメントスキャナベンダー各社は、重送が起きないよう、紙搬送の性能には細心の注意を払ってその向上に努めています。とは言え、重送を完全にゼロにすることは現在の技術では不可能なため、万が一重送した場合にはそれを検知する機能も多くのスキャナに搭載されております。

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