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ドキュメントイメージスキャナQ&A 第9回

月刊 IM(Journal of Image& Information Management) 2002年9月号( 第41巻 第9号)21頁に掲載されたものを許可を得て転載したものです。
http://www.jiima.or.jp

ドキュメントイメージスキャナQ&A
町田政彦 キヤノン電子(株)
<第9回>
Q最近、ドキュメントイメージスキャナでもカラーに対応した機種が大変増えてきているようです。カラーでスキャンすることの長所、短所は何ですか?

A近年、カラープリンター、カラー複写機等の普及により、カラードキュメントがオフィースでも一般的に広く使用されるようになっております。
 
 そのせいか、数年前まではごく少数の機種に限られていたカラー対応のドキュメントイメージスキャナも、近年各社から発売され、カラー対応はドキュメントイメージスキャナの一般的な機能の一つになっています。
 下の画像をご覧下さい。左から白黒二値、256階調グレースケール、24ビットカラーでスキャンした画像です。



この書物が白黒印刷のため、グレースケール画像とカラー画像の違いがはっきりしませんが、スクリーン上、あるいはプリントした場合、その違いがはっきり現れます。また、白黒二値の場合、デフォルトの明るさでは画像がほとんど真黒になってしまい、文字が完全に背景に埋もれていまし読むことができませんでした。明るさを何度か調整し、トライ&エラーで得た画像が上のものです。解像力はカラーが100dpi、他が200dpiと、カラーの方が解像度が低くなっています。

近年リモートスキャニングという手法が広まっています。例えば申込書等を営業所でスキャンし、その画像を事務センターに送って必要なデータをキーインする。あるいはスキャンと同時にOCRをかけ、OCRしたデータと画像をセンターに送ってその照合を行なったりします。カラー画像の判読性の高さは、こういってデータエントリーや照合でもエラーを少なくします。

いくつかの点で、カラースキャニングの欠点といわれている点につき、整理してみます。

(1)カラースキャニングはスピードが低下する?

白黒スキャンに比べ、カラースキャンはその情報量が3倍以上になるため、データ転送に要する時間が長くなります。ただ、上の画像でもわかるように、カラーでは100ないし150dpiで十分な画質が得られるため、これらの低い解像度でスキャンされること、また、各社工夫を凝らしたカラーの速度を向上させ、白黒とほとんど遜色の無いレベルまで近づけています。

カラーでスキャンした場合、明るさ、コントラストの調整失敗等で再スキャンする確率が大幅に減るため、全体の生産性が高まる場合もあります。

(2)カラー画像はファイルサイズが巨大である?

もちろん、同じ解像度で非圧縮の画像であればカラーは他のファイルと比べて大きなサイズになってしまいます。しかし、例えばJPEG圧縮した100dpiの24ビットカラーのファイルと、200dpiの白黒二値のTiffファイルのサイズはほぼ同じです。一方で、解像度が半分であるにもかかわらず、判読性は上図のようにカラーの方が良いと言えます。

(3)カラー画像からはOCR化ができない?

最近ではカラー画像に対応したOCRソフトができております。また、スキャナによっては、1回のスキャンでカラーと白黒二値の二つの画像を生成するものもあり、その場合、白黒二値の画像ファイルを使ってOCRをかけることができます。

(4)カラー機は高い?

カラー機と白黒機の価格差ですが、同一メーカーから出ているほぼ同じスペックの機種で、カラー機能のあるものは、ないものより10数%から30%前後高くなっています。

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