ドキュメントイメージスキャナQ&A 第4回
月刊 IM(Journal of Image& Information Management) 2002年4月号( 第41巻 第4号)14頁に掲載されたものを許可を得て転載したものです。 http://www.jiima.or.jp |
ドキュメントイメージスキャナQ&A 町田政彦 キヤノン電子(株) |
<第4回> |
Qスキャンした画像ファイルの圧縮方式には様々な種類があるようですが、それぞれの特徴、どのように使い分けたら良いのか教えて下さい。 |
A何の圧縮もしなかった場合、例えばA4サイズのドキュメントを二値、200dpiの解像力でスキャンすると、その画像ファイルサイズは500Kbyte程になります。記録メディアの高容量化、CPUのプロセススピードの高速化、また通信回線のブロードバンド化等、今までより大きなファイルを容易に取り扱える環境になっているとはいえ、1日に何百枚、何千枚とスキャンをするとなると、とても気軽に扱えるサイズではありません。また、グレースケールやカラー画像は更に大きなファイルサイズになります。そこで、ファイルを圧縮することになります。圧縮はスキャナ本体で行なわれる場合とPCで行なわれる場合があります。 以下、代表的な圧縮形式についてご説明します。 【CCITT G3/G4】 ファクシミリの標準的な圧縮方式で、白黒二値の画像ファイルを圧縮する最も一般的なものです。CCITT G3で1/10、 G4で1/20程のサイズに圧縮されます。G3はMR、G4はMMRという呼び方をする場合もあります。(G3では以前MHという方式もありましたが、最近ではG3=MRと考えるのが一般的です。)G3はFaxの回線品質が悪い場合にエラーが発生しても、その影響が数ラインに留まるよう設計されました。一方G4は、エラーが発生するとそれ以降そのページの全てのデータが失われてしまいますが、圧縮率は高くなります。ドキュメントスキャナで使用する場合、スキャン画像の保存面からは、エラーを考慮する必要はほとんどないので、圧縮率の高いG4が一般的に利用されております。 この形式の圧縮は、文字中心の原稿に対して最適化されており、また、可逆性があるため、非可逆性のJPEG圧縮に見られるような文字周辺のにじみが発生しないことが特徴です。反面、スキャンするドキュメントに写真のような中間調の画像がある場合には、圧縮率が高くならず、逆に圧縮しない場合よりもファイルサイズが大きくなることがあります。 【JPEG】 画像圧縮アルゴリズムを制定するために設立されたグループ=Joint Photographic Coding Experts Group に由来します。 |
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グレースケール、カラー画像の圧縮に最も一般的に用いられる圧縮方式です。ファイルサイズは1/10~1/100程度に圧縮されます。JPEG圧縮は非可逆の場合と可逆性を有する場合がありますが、一般的には非可逆で圧縮率を大きく取ります。非可逆では、イメージをビット毎に細かく再構築しないため、画像が劣化します。圧縮率を大きく取ればファイルサイズは小さくなりますが画像劣化の程度は大きくなり、圧縮率を小さくすればファイルサイズはあまり小さくなりませんが、画像劣化の程度は小さくなります。可逆性を有する場合の圧縮率は、通常、1/2から1/3程度になります。 JPEGより30~50%圧縮率が高いJPEG2000が標準化されています。JPEG2000は名前に“JPEG”と付くものの、JPEGと互換性がなく、また、圧縮、伸張共にJPEGより数倍の処理能力が必要となるため、ドキュメント・イメージング・スキャナに使用されるアプリケーションではまだ一般的になっていません。 また、“JPEG”というのがファイルフォーマットの一つとして語られる場合がありますが、厳密には、JFIF(JPEG File Interchange Format)であることが一般的です。 【JBIG】 Joint Bi-level Imaging Groupの略です。CCITT G4より圧縮率が10~50%程度高く、基本的には二値画像の圧縮のためのものでしたが、グレースケールの圧縮も可能です。JBIGは、CCITT G3/G4では圧縮しようとしても逆にファイルサイズが大きくなってしまうよな写真のような画像でもきちんと圧縮をし、ファイルサイズを小さくします。ファクシミリではG4に次ぐ規格として採用されておりますが、ドキュメントスキャナのアプリケーションソフトにはJBIGをサポートしているものはあまり多くないようです。 |